社会福祉士通信レポート実例 就労支援サービス
私が、社会福祉士国家試験受験資格取得のために受講した社会福祉士一般養成課程（通信課程）で、実際に提出したレポートです。
『就労支援サービス』の課題、「障害者と就労支援のあり方について説明しなさい」（2019年5月）
この課題については、もの申したいことがあります。
それは、「障害者と就労支援のあり方について説明しなさい」という課題の表現についてです。この表現では、「障害者のあり方と、就労支援のあり方について説明しなさい」というふうにも受け取ることができてしまいます。
この場合は、「障害者に対する就労支援のあり方について説明しなさい」といった表現にすべきです。
課題の出題者は、そうした表現にも気を配るべきです。そうした表現に気を配ることができない出題者がレポートの評価をしていることに腹立たしく思います。
科目名／就労支援サービス
課題／障害者と就労支援のあり方について説明しなさい
点数／85点 評価／優
人の営みの中で、就労の果たす役割には大きな意義がある。人々は就労を通して高度な知識や専門技術を習得するだけではなく、それに付随する人と人との関わりであるネットワーク形成や、自己実現となる自己形成過程においても社会的役割を持つことで、主体的「人間」としての価値が創生されるのである。
障害者が生きがいを感じ、人と社会との共生を確立するうえで就労は大きな意味を持つ。人は他者との関わりや社会への役割を持ちつつ成長するものであり、社会的有用感を得ることによって、生きがいを創出することができる。障害者が社会の中で生きがいを持って自らの生活を主体的に営む社会こそが、真の共生社会であり、働く場における共生社会の実現が障害者就労支援の目的といえよう。
障害者の就労支援を進めていく過程では、障害者が「働く」ということについてどんな思いを持っているかを大切にする必要がある。その思いは多様であり、各々に応じた支援のあり方がある。ニーズは何か、課題は何か、そしてどんな支援が必要なのか、という問いかけが最初にあり、その課題の解決に向けての働きこそが障害者就労支援なのである。
障害者基本法は、「すべての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことを目的としている。障害者基本法の理念は、障害者の就労支援においても達成されるべき目標であるといえる。
障害者基本法では障害者を「身体障害、知的障害、精神障害（発達障害を含む。）その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義している。障害者就労支援の対象者は、障害者基本法に示された障害者である。
障害者就労支援の範囲は、障害者が働く意欲をもって活動する営みのすべてを含む。
障害者の就労形態としては、一般就労（一般雇用）のほか、福祉施設で支援を受けながら訓練を兼ねて働く福祉的就労がある。前者は、企業や官公庁において、事業主と雇用関係を結ぶ就労形態である。後者は、一般雇用されることが困難な障害者が、障害者支援施設などにおいて働くものをいう。障害者の就労の場には、生活の自立のためだけではなく、活動の場としての就労も必要なのである。
障害者の就労支援を進めるにあたり支援者は、様々な法律、制度、機関、サービスなどを理解することが必要である。同時に、障害者の多様な就労ニーズに応えていくためには、障害者がどのような状態にあり、どんな思いを持っているのかしっかりと把握できなければならない。支援者にはアセスメント能力に加え、支援ネットワークを使い、適切な支援機関へ繋げられる能力が求められるのである。
また、多様な障害像に合わせ、障害程度や特性を生かして就労することのできる環境を開拓、創出することも求められるのである。
〈参考文献〉
『就労支援サービス』 中央法規出版
『社会福祉学習双書 社会福祉相談援助技術論Ⅱ』 全社協
『社会福祉の理論と制度』 井村圭壯・相澤譲治 編著 勁草書房
『障害者福祉の世界』 佐藤久夫・小澤温 著 有斐閣アルマ
『社会福祉士ワークノート』 ユーキャン学び出版
『障害者就労支援のあり方と今後の方向性について』 仙台市障害者施策推進協議会 就労支援作業部会
〈次回予告〉
『社会調査の基礎』質的調査の方法について説明しなさい
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