社会福祉士通信レポート実例 福祉行財政と福祉計画
私が、社会福祉士国家試験受験資格取得のために受講した社会福祉士一般養成課程（通信課程）で、実際に提出したレポートです。
『福祉行財政と福祉計画』の課題、「福祉財政について述べなさい」（2019年7月）
この課題は統計データを多用します。統計データは、テキストに掲載されているデーターではなく、最新のデーターを用いましょう。
最新のデータは、総務省のサイトなどで確認できます。
科目名／福祉行財政と福祉計画
課題／福祉財政について述べなさい
点数／90点 評価／優
わが国の社会福祉・社会保障は、社会制度として定着し、国民生活に不可欠なものとなっており、社会福祉・社会保障を維持運営するためには大きな社会的な投資が必要となる。
国の予算は、一般会計と特別会計から成り立つ。一般会計は、国の基本的活動を行うのに必要な歳入、歳出を経理する会計のことで、特別会計は、国が行う特定の事業や資金を運用するなどの目的で設けられた会計である。
社会福祉における国の財政は、一般会計のうち社会保障関係費として計上され、2018年度の社会保障費は32兆 9,732 億円で、一般会計予算の 33.7%を占める。その内、年金医療介護保険給付費26兆7,268億円が81%を占めている。
地方公共団体の財政は、国と同様に一般会計と特別会計に区別されている。2017年度の目的別歳出純計決算額は、民生費（歳出総額の26.5%）、教育費（同17.2%）、公債費（12.9%）、土木費（12.2%）、総務費（9.3%）の順となっている。
地方公共団体における社会福祉の財源は、民生費として計上される。2017年度の民生費は、25兆9,834億円で、歳出総額の26.5%に相当する。民生費の都道府県の合計額は、8兆726億円で、内訳は老人福祉費（39.6%）、社会福祉費（32.1%）、児童福祉費（21.4%）、災害救助費（3.8%）、生活保護費（3.1%）の順である。市町村の合計額は、21兆1,697億円で、内訳は児童福祉費（37.5%）、社会福祉費（26.0%）、老人福祉費（18.0%）、生活保護費（17.9%）、災害救助費（0.6%）の順となっている。性質別内訳では、生活保護に要する経費などの「扶助費」が最も大きな割合を占めている。
地方公共団体の財源は、一般財源、国庫支出金、地方税、その他に大別される。2017年度の歳入純計決算額をみると、一般財源である税が全体の5割以上を占め財源の中心となっている。一般財源の中では地方税の占める割合が最も大きく、全体の（39.4%）、次いで地方交付税が（16.5%）と大きな比重を占めている。
公的な財源に対し民間の財源や公的な財源に準ずるものがある。大別すれば、①共同募金及びその他の寄付金、②公営競技の益金による補助金、③民間助成団体の助成金、④社会福祉法人等の収益事業部門の収益、⑤独立行政法人福祉医療機構等の貸付金などである。
福祉サービスの利用者負担の仕組みは、利用者の支払い能力に応じて負担額を決定する応能負担と、サービス量に応じて決定する応益負担の二つに分けられる。応能負担には社会福祉施設の費用徴収などがあり、応益負担には介護保険や医療保険などが該当する。介護保険は社会保険方式で実施されており、利用者負担を除いた介護保険の財政構造は、保険料が50%、公費負担が50%となっている。
社会福祉施設の運営費は、措置制度のもとで賄われてきた。2000年の社会福祉法改正に伴い利用制度が導入され、①措置方式、②自立支援給付方式、③事業費補助方式、④行政との契約方式、⑤介護保険方式、となった。利用制度のもとでも、やむを得ない事由がある場合は、措置制度が適用されることもある。
〈参考文献〉
『福祉行財政と福祉計画』 中央法規出版
『社会福祉学習双書 社会福祉援助技術論Ⅱ』 全社協
『よくわかる社会福祉概論』 松井圭三 編著 大学教育出版
『社会福祉を学ぶ』 山田美津子・稲葉光彦 編 みらい
『社会福祉士ワークノート』 ユーキャン学び出版
『平成31年版地方財政白書（平成29年度決算）』 総務省
『社会保障について』 財務省財政制度分科会（平成30年10月9日開催）資料
〈次回予告〉
『更生保護制度』更生保護制度の概要を述べなさい
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