岡村隆史さんを通して「バイステックの7原則」を考える
今日は「バイステックの7原則」について綴ってみたいと思います。
きっかけは岡村隆史さんに対する発言から
「バイステックの7原則」について書こうと思ったのは、岡村隆史さんの発言を巡るSNS上などでの反応を見て感じることがあったからです。
このブログで岡村隆史さんの発言についてとやかく言うつもりはありません。
なので、発言内容についてこのブログ内では書きません。
それを詳しく知りたい方は、ご自身でググってください。
SNS上では、社会福祉の専門家と思われる方々が岡村さんのことについて語られており、そうした発言を目にすることもあります。。
そうしたSNS上での社会福祉の専門家と思われる方の発言の中には、「専門家として岡村さんのことを見ることができているのか?」と疑問を感じる内容の発言もありました。
岡村隆史さんを「バイステックの7原則」に当てはめてみる
以前の記事で、『専門職として持たなければならない価値のひとつに、「バイステックの7原則」がある』ということを書きました。
ここでは、岡村さんを題材にして「バイステックの7原則」についての記事を書かせてもらおうと思います。
岡村さんには大変申し訳ないけれど、岡村さんは有名人ですし、この度の件で話題となりました。
岡村さんを題材とさせていただくことで、「バイステックの7原則」をよりわかりやすく説明できると考えました。
ここではこのように考えます。
岡村さんは問題を抱えています。
問題を抱えた岡村さんが、ソーシャルワーカーの所に相談に来ました。
という設定で、岡村さんのことを「バイステックの7原則」に当てはめて考えてみたいと思います。
バイステックの7原則
「個別化」の原則
人を個別性や独自性を持った特定の個人ととらえ、個別の状況や、その立場を十分に尊重しながら対応する。
- 岡村さんのことを、「芸能人だから」などといった偏見や先入観にとらわれて見ていませんか?
- 岡村さんのことを他者と比較していませんか?他の芸能人と比べたりしていませんか?
- 岡村さんの問題を、岡村さん個人の問題としてとらえることができていますか?
- 考え方がパターン化してませんか?
岡村さんのことを「個別化」してとらえるなら、過去の芸能人の発言や処分などと比較したりしてはいけません。
岡村さん個人の問題としてとらえなければなりませんね。
「意図的な感情表出」の原則
否定的な感情も含めて自由に感情表出できるように配慮し、それを受け止める。意図的な働きかけによってクライエントの感情を導き出し、共感的理解を通じてクライエント自身の機能を高めていく。
- 岡村さんの表現をさえぎっていませんか?
- 岡村さんの感情を自由に表現することができていますか?
- 岡村さんが感情を表現しやすい雰囲気、を作ることができていますか?
その後のラジオ番組では、相方矢部さんの公開説教となったそうですね。
番組は聞いていないので、その事についてとやかく言うつもりはありません。
ただ、岡村さんの思いや感情を自由に表現できたかは気になるところです。
もちろん、矢部さんや番組スタッフはソーシャルワーカーではありませんから、それを求めるのは無理があります。
これは、「岡村さんがソーシャルワーカーに相談したらソーシャルワーカーはどう受け止めるのか」という設定の話しです。
「統制された情緒的関与」の原則
援助者は個人的な感情や自己満足を援助に持ち込んではならず、自らの感情を統制することが不可欠である。
- 援助者は、自分の感情を自覚できていますか?個人的な怒りや感情をぶつけていませんか?
- 援助者は、過度な感情移入をしていませんか?
- 援助者自身の平常心は保てていますか?
SNS上での社会福祉の専門家と思われる方の発言の中には、個人的な感情をぶつけているような内容も見受けられました。
「受容」の原則
クライエントは、援助者に自分の態度、行動、価値観などを受容されることにより、安心感や信頼感を持って問題を積極的に解決しようと意欲を持てるようになる。
- 岡村さんの人となりを吟味していますか?
- 岡村さん自身に起きている問題をありのままに受け止められていますか?
- 岡村さんに対する敬意を失っていませんか?
- 岡村さんを受け止めることと許容することを混同していませんか?
岡村さんがもし罪を犯していたならば、罪自体を許容することはありません。
罪は罪として責められなければならないかも知れません。
しかし、罪を責めることと、岡村さんという人を責めることをいっしょにしたらダメです。
援助者は、岡村さんに起きている問題をありのままに受け止めなければなりません。
「非審判的態度」の原則
援助者の役割は、クライエントを批評することや、審判を下すことではない。対等な立場の人間としてクライエントを尊重する。
- 岡村さんのことを一方的に非難していませんか?
- 岡村さんに対して色眼鏡をかけて見ていませんか?
- 岡村さんのことを違う角度からもみるようにしていますか?
- 常識という枠にとらわれていませんか?
SNS上では、岡村さんのことを批評・非難するような内容の発言を見かけます。
一般の方からそのような見方をされるのは、有名人としての宿命かもしれません。
しかし、社会福祉の専門家がそうした見方をするのはいかがなものかと思います。
「自己決定」の原則
クライエントの意思を尊重し、クライエントが自ら選択・決定できるように支援する。クライエントの意思決定能力が十分でない場合には、援助を通してクライエントのニーズを明確化し、選択・決定の代弁を行い、クライエントの権利擁護に努める。
- 岡村さん本人の意思をしっかり確認していますか?
- 岡村さんが発した言葉は本心なのか?
- 岡村さん自身の力を利用して成長することができるか?
SNS上での社会福祉の専門家の発言の中には、岡村さんの意思とはちがうところで、岡村さんの意思とはちがうかもしれないことが代弁されてしまっているものも見受けられます。
「秘密保持」の原則
クライエントの利益を最優先に考え、他職種・他機関などと連携し、よりよい援助を行うために情報の共有が必要な場合は、クライエントの承認を得たうえで必要な範囲で情報を共有し、援助を展開する。
- 岡村さんの秘密保持を意識していますか?
- 岡村さんの個人情報の管理はできていますか?
- 個人情報の使用で岡村さんに不安を与えていませんか?
岡村さんの情報がネット上にあふれてしまうのは、有名人としての宿命かもしれません。
だけど、社会福祉の専門家と思われるような方が、SNS上で岡村さんについて様々なことを発言してしまうのは、いかがなものかと思います。
以上、この話に結論はありません。
くり返しますが、この記事は、岡村さんのことをとやかく言いたいわけではありません。
SNS上での社会福祉の専門家と思われる方の発言の中には、専門家としていかがなものか?と思うような発言もありました。
岡村さんには申し訳ありませんが、岡村さんを題材に「バイステックの7原則」を考えてみましょう!という内容でした。
最後に!
「バイスティック」ではなく「バイステック」ですからね。
そこんとこよろしく!
《参考文献》