パジャマ更衣が機能訓練になるのか?
今回は、前回の続きで更衣を行わないという選択について綴っていこうと考えていましたが予定を変更して「更衣が機能訓練になるのか?」ということについて綴っていきたいと思います。
更衣を行わない選択については、次回書かせていただきます。
さて、なぜ「更衣が機能訓練になるのか?」について書こうと思ったかというと、ツイッター上で
『パジャマ更衣は機能訓練の一環とほざいている人がいる』
『訓練なら看護師さんにお願いします』
『パジャマ更衣でどの機能が上がるのか?』
といったコメントを見かけたからです。
更衣自体が機能訓練ではない
おっしゃる通り、パジャマに更衣すること=機能訓練ではないでしょう。
自分自身に置き換えて考えてみてください。
あなたは毎日機能訓練を行っていますか?
私は機能訓練を行っていません。
私を含めて健康な方のほとんどは、機能訓練なんて行ってはいないでしょう。
機能訓練を行っているという人は、何らかの原因で体の調子を崩している人や、病院へ入院している人、スポーツで体を傷めた人などでしょう。
健康な人はなぜ健康状態を保てるか?
ではなぜ、健康な人は機能訓練を行うことなく健康状態を保つことができているのですか?
それは、機能訓練という特別なことを行わなくても、日々の生活の中の動作を普通に行うことが健康状態の維持につながっているからではないですか?
例えば、デスクワークを行う人が、1時間全く姿勢を変えることなく座って仕事をしたら、それだけで体のあちこちが痛くなったりしませんか?
私たちは、体の調子を保つために、デスクワーク中に首をぐるぐる回したり、背伸びをしたりということをして体の調子を整えています。
老人ホームで寝たきりの人(寝かせきりの人)は、そうした私たちが日々当たり前に行っていることが自身ではできないのです。
なぜ寝たきり(寝かせきり)になるのか?
そもそもなぜ、寝たきり(寝かせきり)になっているのでしょう。
介護を行う者が、ひとつひとつの動作を省略していった結果が「寝かせきり」となっているのではないでしょうか?
トイレを省略しオムツにする。離床を省略しベッド上で食事を食べる。一日中寝ているから髪をとかすこともない。更衣を省略し終日パジャマで過ごす。というふうに、日常の動作のひとつひとつが省略された結果「寝かせきり」が起こっているのではないでしょうか?
寝たきりは、介護を行う者が動作を省略し「寝かせきり」にした結果なのではないでしょうか?
介護で最初に勉強する言葉「廃用症候群」
私たちが介護の勉強をする時に必ず最初に習う言葉があります。
「廃用症候群」です。
最近は廃用症候群とは言わず、生活不活発病と習うようですね。
生活不活発病という表現は、「生活が不活発となることで病を生じる」ということをストレートに表現したとてもわかりやすい言い方だと思います。
生活が不活発になると、筋肉や関節の機能だけではなく、循環器、消化器といった内臓の機能や、認知機能まで低下するというものです。
廃用症候群(生活不活発病)という言葉を必ず最初に習うのは、それがとても重要だからです。
介護職が共通認識として持たなければならない考え方だからなのです。
更衣は生活動作のひとつ
話を最初に戻します。
「更衣が機能訓練になるのか?」
更衣そのものが機能訓練ではありません。
更衣は生活動作のひとつです。
生活動作のひとつひとつを、介護を行う者がひとつひとつ省略していった結果が寝たきり(寝かせきり)なのではないですか?
次回「更衣を行わない選択について」つづきます。