更衣をしないという選択 答えはバイステックの中に
今回は予定通り、更衣を行わないという選択について綴っていきたいと思います。
更衣を行わないという選択の答えは、皆さんご存知のバイステックの7原則の中にあります。
バイステックの7原則については、こちらの記事に書いてありますのでよかったらご覧ください。
バイステックは介護職が共有すべき価値
私たちは介護の勉強をする時に、必ずバイステックの7原則を勉強します。
バイステックの7原則を必ず勉強するのは、それが対人援助において必要な考え方、介護職が持つべき考え方、介護職が共有すべき価値だからです。
更衣を行わないという選択をする時に、バイステックの7原則の全てが関係しますが、ここでは、
「個別化の原則」
「自己決定の原則」の2つの原則をとりあげます。
自己決定の原則
順番が前後しますが、まず「自己決定の原則」です。
利用者の「着替える」「着替えない」という自己決定を最大限尊重する必要があります。
ただし、本人の決定だからといって、何日も同じ服を着続けることが良い事とは思えません。
本人の望みを支援する
そうした場合は、「着替えたい」という望みを起こしてくれるような支援が必要になります。
「着替える」「着替えない」という意志を支援するのではなく、「着替えたい」という望みを起こしてくれるように支援をするのです。
着替えだけではなく、食事でも入浴でも同じことです。
例えば、食事に誘った時「要らない」と言われたらそのまま放置しますか?少し時間をずらして声を掛けるなどの工夫をしますよね。
あるいは、ご飯は食べないけど、パンだったら食べるかも?といった工夫をしたりしますよね?
「着替えない」という方にもそうした工夫はできないでしょうか?
個別化の原則
次に「個別化の原則」です。
利用者を一律に「全員更衣しましょう」あるいは「全員更衣なしにしましょう」などとしてはいけません。
利用者一人ひとり、これまでのライフスタイルもちがえば、身体の状態もちがいます。
私たちは、利用者一人ひとりを個人として捉えなければなりません。
状態は刻々と変化する
利用者一人ひとり、その時の思いや身体の状態は刻々と変化します。
例えば、皮膚の状態が非常に悪く、更衣により度々表皮剥離を起こしている方に対して同じやり方で更衣を行い続けることが良い事とは思えません。
衣類のサイズや素材、伸縮性などの検討、更衣そのものをする・しないということを検討する必要があるでしょう。
ここまで書いてきましたが、我ながら内容がきわめて当たり前すぎて、書いていてバカらしくなってきたのでこの話はここまでにしておきます。
自身の感情を自覚して自身の感情に向き合う
最後に、バイステックの7原則からもうひとつ、「統制された情緒的関与」についてです。
私たちは、自身の感情を自覚して利用者に対する援助を行わなければなりません。
私たちも人間ですから、夜勤明けの最も疲れている時間に、何人もの利用者の更衣を行っていると「めんどくせえなあ」なんて感情が湧き出てしまうものです。
「更衣なんて意味あるのか」なんて感情が湧き出てしまうものです。
自身がそうした感情を持つ人間だ、ということを自覚するのです。
自身がそうした感情を持つ人間だ、ということを自覚して自身の感情に向き合うのです。
利用者に向き合うということは、利用者に向き合う自身の感情に向き合うことの繰り返しなのかもしれません。
おわり