社会福祉士通信レポート実例 保健医療サービス
私が、社会福祉士国家試験受験資格取得のために受講した社会福祉士一般養成課程（通信課程）で、実際に提出したレポートです。
『保健医療サービス度』の課題、「患者の権利について「インフォームド・コンセント」の用語を用いて述べなさい」（2019年2月）。
科目名／保健医療サービス
課題／患者の権利について「インフォームド・コンセント」の用語を用いて述べなさい
点数／85点 評価／優
患者の権利とは、医療において患者が人間として尊重されるために認められるべきものである。すべての人間は病気から逃れることはできず、患者として医療に関わることになる。それゆえ患者の権利は、すべての人間が医療に関わるとき、人間として尊重され、守られなければならない権利であるといえる。
医療において患者が人間として尊重されるためには、患者の意思を無視した勝手な医療がなされてはならない。そして、患者の意思が尊重された医療がなされるためには、患者が医療行為の主体として医療者や医療機関と協同し、実施される医療行為を判断・理解することができ、自己決定ができなければならない。そのために、患者のインフォームド・コンセントをする権利や、医師に説明を求める権利など、患者の権利が、医療者や医療機関との関係で患者に認められるのである。
さて、インフォームド・コンセントは現在、「説明と同意」として周知されている。医療法1条の４第２項において「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように努めなければならない」とされている。また医療提供者は、患者の入院時の入院診療計画書の作成や患者または家族へ説明を行うよう医療法で求められている。患者の自己決定という観点から知る権利を重視したものであるといえる。
ところで、医療現場でインフォームド・コンセントは、医療訴訟対策の概念として理解されることが少なくない。しかし、インフォームド・コンセントの実践的意義には、法的側面と心理的側面とがあり、臨床現場では、後者の心理的側面がより重要になるのである。
患者へのインフォームド・コンセントが成立するための３つの条件として、①患者への十分な医療情報の提供、②患者の判断力・理解力、③患者の自発的な意思決定、がある。
このうち、「患者への十分な医療情報の提供」には、法的側面の意味合いが含まれる。
一方、「患者の判断力・理解力」及び「患者の自発的な意思決定」には、医療者と患者との信頼関係の強度が深く関係しており、それは、患者の心理的側面により大きく変化することを、医療者は心得なければならない。
インフォームド・コンセントは、縦断的に複数の医療者が患者に関わることによって客観性を保ちつつ、人間的で暖かいアプローチによってはじめて成し遂げられるのである。
このように、インフォームド・コンセントは、単に「説明と同意」という意味にとどまらず、変化する患者の心理的状況を十分見極めながら進めていかなければならない。
患者の権利を実現するためには、単に説明と同意にとどまらず、患者が自らの状況を正しく理解し自己決定できるよう、必要な情報を適切に、わかりやすく提供し、患者がその権利を十分に理解し、活用していけるように援助することが求められるのである。
〈参考文献〉
『保健医療サービス』 中央法規出版
『社会福祉学習双書医学一般』 全社協
『ヘルス・コミュニケーション』 九州大学出版会
『医学概論』 北村論 中外医学社
『患者の権利の歴史』 高梨滋雄 患者の権利オンブズマン東京
『社会福祉士ワークノート』 ユーキャン学び出版
〈次回予告〉
『福祉サービスの組織と経営』社会福祉法人の基本的性格と、経営の現状と課題について述べなさい。
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