社会福祉士通信レポート実例
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
私が、社会福祉士国家試験受験資格取得のために受講した社会福祉士一般養成課程（通信課程）で、実際に提出したレポートです。
『児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度』の課題、「児童・家庭福祉制度の発展過程について論じなさい」（2019年1月）。
科目名／児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
課題／児童・家庭福祉制度の発展過程について論じなさい
点数／90点 評価／優
子ども家庭福祉が政策の対象となるのは、1874（明治７年）の恤救規則である。恤救規則は、昭和初期まで続いた救貧施策であり、親族、近隣の相互扶助を原則とし、それができない場合のみ国が救済するとの規定である。
当時の子どもの保護にあたったのが、宗教団体や篤志家などの民間団体または民間人であった。代表的な児童福祉施設として、1887年、石井十次により、わが国最初の孤児院、岡山孤児院が設立される。石井は、わが国の児童福祉の父といわれる。1897年わが国最初の知的障害児のための専門施設、滝乃川学園を石井亮一が設立。1899年、留岡幸助が、家族舎方式の感化院家庭学校を東京の巣鴨に創設。1900年、野口幽香・森島美根が、貧困児童のための幼稚園、二葉幼稚園を設立した。
昭和時代に入り、1929（昭和４年）には、それまでの恤救規則に代わって救護法が成立し、貧困であって13歳以下の幼児や妊産婦の救護が行われた。1933年には14歳未満を対象として児童虐待防止法、少年教護法が制定され、1937年には12歳未満の子どもの貧困母子家庭救済のために、母子保護法が制定された。
1945（昭和20年）に第二次世界大戦が終結。日本の敗戦は、生活面すべてにわたる混乱と困窮をもたらした。こうした状況下、孤児や浮浪児の保護が急務の課題であった。1946年日本国憲法が公布され、第25条の趣旨を受けた児童福祉の理念の確立と実現が課題となる。こうして1947年に児童福祉法が制定され、同法は、その後の日本における子ども家庭福祉を進めるにあたっての基本的な法律となった。
この時期、大きな功績を残した糸賀一雄は、1946年に知的障害児施設近江学園、1963年に重症心身障害児施設びわこ学園を設立し、「この子らを世の光に」という言葉を残した。
1965年に母子保健法が成立、1967年には児童福祉法の改正により、重症心身障害児施設が児童福祉施設として規定された。1971年には児童手当法が制定され、需給要件を満たした児童がいる家庭の経済的支援が開始された。
諸外国では、1909年にアメリカで第１回ホワイトハウス会議が開催され、ルーズベルト大統領は、「家庭生活は、文化の所産のうち最も高い、美しいものである。児童は緊急やむを得ない理由がない限り、家庭生活から引き離されてはならない」と宣言した。1924年には国際連盟が児童の権利に関するジュネーブ宣言を採択し、人類が児童に対して最善のものを与えるべき義務を負うことを提言した。1959年に国際連合が採択した児童の権利に関する宣言では、児童の最善の利益という理念を初めて明文化した。1989年に採択した児童の権利に関する条約では、権利行使の主体として児童自身の活動的権利を保障している。
わが国では、1951（昭和26年）に児童憲章を採択した。児童憲章は、世界児童憲章、ジュネーブ宣言、アメリカの児童憲章などを参考に作られた。1994（平成６年）には国連が採択した児童の権利に関する条約を批准した。
〈参考文献〉
『児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度』 中央法規出版
『子供の福祉－児童家庭福祉の仕組みと実践－』 松本峰雄 編著 建帛社
『新しい時代の社会福祉サービス論』 今村理一 編著 ミネルヴァ書房
『子どもの生活を支える社会福祉』 大塚良一・小野澤昇・田中利則 編著 ミネルヴァ書房
『子ども家庭福祉』 浅井春夫 編著 建帛社
『社会福祉士ワークノート』 ユーキャン学び出版
〈次回予告〉
『相談援助の基盤と専門職』相談援助の理念について述べなさい
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