社会福祉士通信レポート実例 福祉サービスの組織と経営
私が、社会福祉士国家試験受験資格取得のために受講した社会福祉士一般養成課程（通信課程）で、実際に提出したレポートです。
『福祉サービスの組織と経営』の課題、「社会福祉法人の基本的性格と、経営の現状と課題について述べなさい。」（2019年3月提出）
科目名／福祉サービスの組織と経営
課題／社会福祉法人の基本的性格と、経営の現状と課題について述べなさい。
点数／85点 評価／優
社会福祉法人は、特別公益法人の一つであるから公益性が求められる。社会福祉法人の行う事業は、福祉サービスを必要とする者を対象とするものであり、不特定かつ多数の利益のために活動することが求められている。
社会福祉は、「国や地方公共団体が実施主体として公費を用いて行う事業であり、市場に供給を委ねることのできないもの」と考えられてきた。社会福祉法人には、こうした公共的な事業を行うことを特別に許された法人として、公的団体に準じた役割が求められる。
公益法人であるためには非営利性が求められ、社会福祉法人にも非営利性が求められる。ここでいう非営利性とは、営利を目的としないことをいう。しかしこれは、社会福祉法人が利益を上げてはならないというものではない。営利法人との区別は、社会福祉法人においては、設立において基本財産を寄付したものなどに利益を配分しないこと、法人の財産について持分を認めないことがあげられる。
社会福祉法人の経営とは、使命や理念を具体的に展開・実践することである。社会的弱者の生活を支えるとともに、地域住民の福祉を向上させることが社会福祉法人の使命、役割である。経営の手法をもって、組織の発展的な継続を図り、使命や理念を具体的に実践することが、社会福祉法人の経営なのである。
こうした社会福祉法人の性格をふまえ、社会福祉法人の経営は、社会福祉法が定める社会福祉事業を中心に据えて展開されている。
社会福祉の仕組みは、介護保険制度や社会福祉基礎構造改革により、措置から契約へ転換した。これにより、社会福祉法人の経営裁量は従来と比較して拡大することになった。
社会福祉法人会計基準では、企業会計の発想や手法が取り入れられた。法人単位の会計制度により、法人全体での資産・負債等の状況を把握し経営分析することが重要となった。
人事・労務管理では、福祉の人材確保が困難となっている状況のもとで、人材の確保と育成、定着に向けて、人事・労務管理の在り方が問われている。人事考課制度や能力給を基本とする給与システムの導入や、キャリアパスを確立することで、働く職員の成長を応援し、仕事に対するやりがいを大切にする人事・労務管理システムの構築が求められる。
社会福祉法人の経営は、制度、環境の転換により、「施設の運営から施設の経営へ」といわれるようになった。施設ごとにも、サービス管理の体制を確立し、財務管理や人事・労務管理が行われるが、法人としても、各施設全体を統括し、財務管理、人事・労務管理、サービス管理が行われる必要が生じている。
そのような中で社会福祉法人には、施設管理から法人経営、規模の拡大、経営能力の向上、経営診断・指導などの経営・運営能力が問われている。また、地域に対する透明性を確保し、ガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントに取り組むことなどが、社会福祉法人経営の課題として求められる。
〈参考文献〉
『福祉サービスの組織と経営』 中央法規出版
『社会福祉学習双書 社会福祉概論Ⅱ』 全社協
『新しい時代の社会福祉サービス論』 今村理一 編著 ミネルヴァ書房
〈次回予告〉
『社会保障』現代の社会情勢を述べ、社会保障の課題を述べなさい。
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