社会福祉士通信レポート実例 社会調査の基礎
私が、社会福祉士国家試験受験資格取得のために受講した社会福祉士一般養成課程（通信課程）で、実際に提出したレポートです。
『社会調査の基礎』の課題、「質的調査の方法について説明しなさい」（2019年6月）。
この課題は、私が提出した全レポートの中で最低点の78点のレポートです。
課題は、「質的調査の方法について説明しなさい」というものなので、読んで字のごとく質的調査の方法を説明すれば良いわけですから、さほど難易度の高い課題ではないと思われますが、なぜ78点という中途半端な点数が付いたのか理解に苦しむとことです。
科目名／社会調査の基礎
課題／質的調査の方法について説明しなさい
点数／78点 評価／良
質的調査は、数値には還元しない言語によって記述されたデータを分析するもので、母集団が特定できない場合や量的に分析できない調査などに適し、事例調査とも呼ばれる。
質的調査では、観察法や面接法など調査者自身がデータを集める調査方法が中心となる。
観察法には、①統制的観察法：予め決めた調査内容に沿い観察する。②参与観察法：調査対象となる社会や組織などに入り込み観察する。③悲参与観察法：調査対象となる社会や組織などの外部から観察する。などがある。
面接法には、①構造化面接法：用意した質問事項に沿って、質問事項の順番や言い方を変えることなく行う。②半構造化面接法：質問を用意しておくが、質問事項の順番や言い方を柔軟に変更する。③自由面接法：調査者が質問しながら自由に進める。などがある。
面接方法には、グループとして一致した意見をまとめることにより、意見を幅広く収集するフォーカスグループインタビューもある。
データの記録方法と留意点として、その場でノートなどに記録することが望ましいが、その場の雰囲気に影響を与えることがある。そのような場合には観察終了後すぐに記録することが必要である。このようなノートをフィールドノートと呼ぶ。また、調査対象者の雰囲気、言葉遣いなどをリアルに記述することが望ましいといえる。このような詳細な記述がなされたものをエスノグラフィーと呼ぶ。
質的調査で収集したデータの整理と分析の基本的な方法には次のようなものがある。
①ファイリング：データがどこにあるのかを把握できるようにする。②コーディング：小見出しやタイトルをつけていく作業のこと。この作業を通してデータを縮約・圧縮させていく。③マッピング：調査結果を図表にして見えない意味の関連を視覚化すること。質的調査の科学性を維持するうえで重要になる。
質的調査の分析手法として代表的なものに、グラウンデッドセオリー(GT)やKJ方がある。
GTは、アメリカのグレイザーとストラウスが提唱した理論で、データ対話型理論とも呼ばれる。データに根差した分析を積み重ねて理論を創出することの意義が主張されている。
GTとKJ法の手法は異なるが、データの分類と結合による概念生成という点は似ている。
分析は、記録を読み込むことから始まる。続いて意味の上の単位に区切っていき、それにラベルを付ける。このラベルをコード、ラベルをつけていく作業をコーディングという。
KJ法は、発想を得たり、仮説をつくるために、川善田二郎が発案した手法である。KJ法の狙いは、データを図表化・図案化することにあり、カード作り→グループ編成→見出し作り→図解化・文章化の過程がとられる。
以上、質的調査の特徴は、あらゆるフィールドの中で生きる人々の視点を研究者が持ち、その人の経験、感情、認識を調べることにある。個人が経験した出来事を語り、そこで構築される物語に着目する手法なのである。
〈参考文献〉
『社会調査の基礎』 中央法規出版
『社会福祉学習双書 社会学』 全社協
『社会調査へのアプローチ』 大谷信介・木下栄二・後藤範章・小松洋・永野武 編著 ミネルヴァ書房
『質的調査の方法』 岸政彦・石岡丈昇・丸山里美 著 有斐閣
『社会福祉士ワークノート』 ユーキャン学び出版
〈次回予告〉
『相談援助演習』社会的排除とソーシャルインクルージョンについて述べなさい
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