深夜のカツ丼は介護事業所のサービスか?
ツイッターをにぎわせた深夜のカツ丼論争
10日前まで半年間ずっと病院でペースト食だった方に、深夜「カツ丼やラーメンを食べたい」と言われ食べてもらった。そんな看護小規模多機能ホーム(看護小規模多機能型居宅介護)のことでツイッターのタイムラインが賑わいました。
ツイッター上での意見では、リスク管理という意味で批判が集まっているように見受けられました。
リスク云々ではなく介護保険サービスとして適切か?
それに対して私はというと、こんなツイートをしました。
話題の「深夜のかつ丼やラーメン?」の話しについて僕は、リスク云々ではなくて介護保険サービスとしてどうなのか?と思う。
— はじめちゃん (@hajimechan2001) May 24, 2020
ヘルパーに「窓拭きや犬の散歩してくれ」って言っているのと同類だと感じる。
リスク云々という話しについては、その事業所の問題なので、事業所がきちんと責任を持ってやれば良いことだと思います。
管理者なりが、きちんと本人や家族に同意を取ったり、主治医の指示を仰いだりして行えば良いことです。
それについてとやかく言うつもりは毛頭ありません。
私が言いたいのは、ツイートにもあるように、それを介護保険のサービスとして行うべきか?ということです。
看護小規模多機能型居宅介護といえば、24時間365日の運営で通いを中心に、宿泊・訪問介護・訪問看護のサービスを1ヶ月の定額料金で一体的(包括的)に提供するサービスです。
言いたいことは、深夜にカツ丼やラーメンを食べてもらうことが、介護保険で行うところの包括的なサービスに含まれるのか?ということです。
それについての私の意見はノーです。
深夜にカツ丼やラーメンを食べてもらうことは、介護保険のサービスに含めるべきではないと思います。
介護事業所はホテルリッツカールトンではない
事業所が独自に別料金で行うぶんには何も意見するつもりはありません。
どうぞ、独自のサービスを提供して、介護保険外の自費で請求してくだされば良いと思います。
介護保険制度は、言うまでもなくこの国の社会保障のひとつです。
社会保障という枠を超えるべきではないと思うのです。
「うちの事業所が勝手にやっているサービスだからいいじゃないか」と言われるかも知れません。
しかし、それがあたりまえになってしまうと、自らの首を絞めることになってしまうと思うのです。
介護保険事業自体の首を絞めることになってしまうと思うのです。
例えば、深夜に何人もの利用者が「カツ丼が食べたい」と言い出したらどうしますか?
「できません」と言うのでしょうか?
それとも全員に提供するのでしょうか?
おひとりに提供した手前、他の方の要求を断るわけにはいかなくなると思います。
皆さんに提供できないサービスを、介護保険サービスと言えるでしょうか?
私は違うと思います。
例えばそこが、ホテルリッツカールトンなら、宿泊者が深夜に「カツ丼を食べたい」と言えば用意してくれるのかもしれません。
しかし、それなりの料金を支払うことにはなるでしょう。
ごめんなさい。リッツカールトンで深夜にカツ丼を頼んだことがないし、そもそもリッツカールトンに泊まったことがないのでわかりません。ただの推測です。
自己決定 秩序や調和を保つために
ツイッター上の意見の中には、利用者の「自己決定」を言う意見も見受けられました。
確かに、利用者の「深夜にカツ丼を食べる」という自己決定を支援したことは、素晴らしいことかもしれません。
私のもうひとつのツイートで、こんなツイートをしました。
例えば、
— はじめちゃん (@hajimechan2001) May 24, 2020
僕が深夜妻に「かつ丼が食べたい」って言ったとします。
妻は僕に「アホか」って言うでしょう。
そもそも深夜にカツ丼を食べるべきなのでしょうか?
ツイートのように、もしも私が妻に深夜「カツ丼が食べたい」と言うと、妻に「アホか」と言われると思います。
だから私はそもそも、妻に深夜「カツ丼が食べたい」なんてことは言いません。
深夜に妻にカツ丼を作らせる、ということは、我が家のルールではありえないことだからです。
ルールなんてものが決まっているわけではありません。それが我が家の秩序であり、我が家の調和を保つためだからです。
もしも私が、深夜「カツ丼を作れ」と妻に命令したとしましょう。
我が家の秩序は乱れ、調和は崩れ、妻は家を飛び出して行くことでしょう。
介護事業所及び介護保険事業にも秩序や調和が必要なのだと思います。
利用者の「カツ丼を食べる」という自己決定を支援することはもちろん大切だと思います。
だけど、「深夜にはカツ丼は食べない」という自己決定を促すことも必要なのではないでしょうか。
そうした秩序や調和を保つこと、秩序や調和を保つことができるように支援することが必要なのではないでしょうか。
以上、「深夜のカツ丼」に対する私の持論でした。