介護技術 教える人によってやり方が違う
4月から介護職を始められた方々、介護の仕事はいかがですか?そろそろ仕事にはなれてきましたか?
今日は、介護の仕事を始めたばかりの方や、新人介護職を指導する先輩に向けての記事を書いてみようと思います。
新人さんが指導者に対して思うこと
新人さんがよく言うことのひとつに、「教える人(指導者)によって言うことが違う」「教える人によってやり方が違う」「統一して欲しい」などがあります。
介護を始めたばかりの新人さんにとって、教える人によって言うことややり方が違うと困惑してしまいますね。
今日は、その事について綴ってみたいと思います。
人は皆同じではない 人によってやり方の違いはある
介護の技術(やり方)などは、基本は同じでも教える人によって多少の違いはあると思います。
右利きか左利きか、身長の高い低い、体格、男・女などによってもやり方は違ってくると思います。
私のやり方を教えても、教えられた人はやりにくいかもしれません。
例えば、私は右利きです。左利きの人にとっては真逆になります。
やり方は統一された方が良いかもしれませんけれど、人によって違うものと思ってください、としか言いようがありません。
どうしてそうするのか?目的は何なのか?
ただし、やり方は違っても、「どうしてそうするのか?」が必要です。
「このやり方が私にとってはやりやすい」だけではダメです。
どうしてそうするのか?その目的は何なのか?ということが大切です。
指導してくれる先輩たちは、それを教えてくれていますか?
もし教えてくれていなかったら、「なぜそうするのですか?」と聞いてみてください。
そして先輩たちは指導する時に、なぜそうするのか?かならず目的をきちんと教えてあげてください。
例えば入浴の目的は?熱湯風呂事故はなぜ起きる?
例えば、ニュースなどで観たり聞いたりしたことがあると思いますが、「熱湯風呂に利用者を入れて死なせてしまう」という事故が、日本全国では時々起きてしまいます。
どうして「熱湯風呂に利用者を入れて死なせてしまう」という事故が起きてしまうのでしょうか?
それは、目的を見失って、手続き・手順(やり方)だけを行っているからではないでしょうか。
4月から入職した新人の方は、入浴準備の仕方は教わりましたね。
さて、どのように教わったでしょうか?
- 給湯器の電源を入れます
- 湯温をセットします
- 蛇口をひねります
- 浴槽一杯になったら自動でお湯が止まります
こんな感じで教わりませんでしたか?
これは入浴準備の「手順」(やり方)です。
では、入浴はどうして(なぜ)するのですか?入浴の目的は何ですか?
- 身体を清潔にするため
- 血行を良くし疲労を取るため
- 全身状態の観察を行うため
などといった目的がありますね。
もうひとつ大切な目的に「温かいお湯につかって気持ちよくリラックスしたい」ということがありませんか?
私たちがお風呂に入る目的って、それじゃないですか?
だったら、お風呂に入る前に必ずしなければならないことは何でしょう?
そうです「湯加減の確認」です。
気持ちよい湯加減になっているかの確認が必要です。
私たちがお風呂に入る時は必ず湯加減の確認をしますよね。
いきなり湯船にドボーンと飛び込みますか?
そうじゃないですよね。かならずお湯に手を入れて、湯加減を確認しますよね。
利用者の入浴介助をする時も、普通はかならず湯加減の確認をします。
だけど、手続きだけを行っていると、それを忘れてしまうのです。それを怠ってしまうのです。
だから「熱湯風呂に利用者を入れて死なせてしまう」といった事故が発生してしまうのです。
「気持ちよく入浴してもらいたい」という目的があれば、そんな事故は絶対に起こらないはずです。
湯加減の確認を怠るはずはないのです。
ばかげたことを言っていると思われるかもしれません。
だけど実際に、年に一件くらいはそうした事故のニュースがあります。
仮に手順を間違え、湯温のセットを70℃の設定にして湯を入れてしまったとしましょう。
手順は完全に間違えています。ミスを犯しています。そのまま入るとヤケドします。死ぬかもしれません。
だけど、「気持ちよく入浴してもらいたい」という目的を忘れていなければ、湯加減を確認することにより事故を防ぐことができます。
熱湯風呂に入れて死なせてしまうことはないのです。
もう一度言います。
ばかげたことを言っていると思われるかもしれません。
私の勤める事業所で、熱湯風呂に入れる事故が発生したことはありません。
だけど恥ずかしい話、水風呂に入れた者は居ます。
給湯器の電源を入れ忘れて水をためたのです。
水で良かったです。熱湯だったら殺していたかも知れません。
手順、やり方はもちろん大切です。
目的はもっと大切です。
目的を忘れないでください
新人の皆さん、どうぞ目的を忘れないでください。目的を見失わないでください。
先輩の皆さん、どうぞ新人さんに、しっかりと目的を教えてあげてください。
手順、やり方だけではなく、目的をしっかりと教えてあげてください。
「目的」に向かっていれば、「やり方は」いろいろあってもいいのです。