はじめちゃんの介護

主に高齢者介護の話しや各種試験対策など

介護の仕事 介護職の人間関係「バイステックの7原則」「自己覚知」完結編

 本日は、一昨日の記事の続きです。

hajimechan2001.hatenablog.com

 一連の介護職の人間関係についての話しは、これでいったん完結とすることにします。

f:id:hajimechan2001:20200429201538j:plain

介護職の人間関係 自分がどういう人間であるか知ること

 人によって「価値観」が違うのはあたりまえのことです。
 価値観が違うから人間関係の問題が生じるのも当然と言えます。
 しかし、介護職の人間関係の問題を、「価値観が違うから仕方がない」で済ませてしまっては問題は何も解決しません。

 一昨日の記事の中で、「価値」には「団体や集団の構成員が共有するよい性質」という意味がある、ということを書きました。

 価値観が人によって違うのは当たり前のことです。
 しかし、介護職は、「介護の職場の構成員が共有するよい性質」を持たなければならないのではないでしょうか。

 つまり、介護の専門職として必要な「価値観」を共有しなければならないのではないでしょうか。

 介護の専門職として必要な価値観を共有することができていないから、介護の職場で介護職として人間関係の問題が発生するのではないでしょうか。

専門職として必要な価値観「バイステックの7原則」

 私たちは、介護の専門職として様々なことを学びます。
 介護職として学ぶことのひとつに「バイステックの7原則」があります。

 介護福祉士実務者研修(実務者研修)以上を修了している方は、バイステックの7原則はご存知でしょう。
 初任者研修でも教わることかもしれません。

 バイステックの7原則を学びはしたけれど、理解することができているでしょうか?
 理解して実践することができているでしょうか?

バイステックの7原則は60年以上不変・普遍の原則

 一昨日の記事の中で、「価値は時代や社会的背景により変化することがある」と書きました。

 バイステックの7原則は、アメリカの社会福祉学者バイステックが1957年に『ケースワークの原則』で記したものです。

 

 60年以上経った今でも、私たちは、バイステックの7原則を学んでいるわけです。

 つまり、バイステックの7原則は、60年以上「不変」の、介護職にとって「普遍」の価値だといえます。

バイステックの7原則は基本的な立脚点であり永遠の達成課題

 バイステックの7原則について奥川幸子は、『身体知と言語 対人援助技術を鍛える』の中で次のように記しています。

 

 バイステックの7原則は、対人援助職に就いている者に要求される基本的な立脚点であり、臨床の場に身を置いているかぎり永遠の達成課題のひとつであり、常に自己点検を要する努力目標である。

 まとめると、バイステックの7原則は私たち介護職にとって、

  1. 基本的な考え方(価値)であり
  2. 永遠の達成課題であり
  3. 常に自己点検が必要な努力目標である

と言っています。

 だから私たちは、バイステックの7原則を学ぶのです。

 さて、バイステックの7原則については、またいずれ書いていきたいと思います。
 ここで詳しくは触れませんが、一応簡単に確認しておきましょう。

バイステックの7原則
  1. 「個別化」の原則
  2. 「意図的な感情表出」の原則
  3. 「統制された情緒的関与」の原則
  4. 「受容」の原則
  5. 「非審判的態度」の原則
  6. 「自己決定」の原則
  7. 「秘密保持」の原則

統制された情緒的関与の法則

 それぞれの説明は、またの機会にするとして、ここでは「統制された情緒的関与」の法則に着目したいと思います。

 バイステックは、統制された情緒的関与の法則で、「援助者は個人的な感情や自己満足を援助に持ち込んではならず、自らの感情を統制することが不可欠である。」ということを言っています。

 これを実践するためには、昨日の記事の最後で言った、自分がどういう価値観を持っているのか、自分の傾向を知ること、「自己覚知」を行うことが大切だと思います。

自己覚知について

 自己覚知を『新・社会福祉士養成講座 相談援助の基盤と専門職 中央法規出版』の中では、次のように説明しています。

 

 援助者は、専門職として共有する価値を基盤に実践していく。
 しかし実践には、援助者個人の価値観も影響を及ぼす。
 援助者はそのことを自覚し、個人の価値観をコントロールしながら専門職としての価値を基盤に援助を実践する必要がある。

 援助者は様々な人々と関わるが、それらの人々と価値観を共有できるとは限らない。
 利用者が、援助者が専門職として共有する価値と相入れない価値観を持っていることもある。
 そのようなときも援助者は専門的な対応をする必要がある。

 援助者は、自分の価値観や性格、行動の傾向をよく知る必要がある。
 これを自己覚知という。そして、援助者は、個人の価値観をコントロールしながら、専門職として共有する価値を優先して実践していくべきである。

 自己覚知が不十分な者あるいは、個人の価値観の影響力に無自覚なものは、専門職としての共有すべき価値をなおざりにして、個人の価値観に基づき援助を実践してしまうことがあるので注意が必要である。

 

 以上、「価値観」の話しから、「バイステックの7原則」について、「自己覚知」についてと話しを進めてきました。

介護職の人間関係について まとめ

 最後に、この話しの振り返りをすると、話しの発端は介護職の人間関係から始まった話しです。

 介護の職場では人間関係の問題が生じます。
 価値観の違いから人間関係の問題が発生します。

 しかし、価値観の違いで片づけてしまっては、人間関係の問題を解決することはできません。

 介護職は、介護の専門職として持たなければならない価値観を共有する必要があります。

 介護の専門職として持たなければならない価値観を共有することができていないから、人間関係の問題が発生するのではないでしょうか。発生しやすいのではないでしょうか。

 専門職として持たなければならない価値のひとつに、「バイステックの7原則」があります。

 バイステックの7原則のうち「統制された情緒的関与」の法則を実践するには、「自己覚知」を行うことが大切です。

 他者との関係を良好なものにするためには、自分がどういう価値観を持っているのか、自分の傾向を知ること、「自己覚知」を行うことが大切なのではないでしょうか。

 自己覚知ができない人のことを、「自己中」などと言ったりしますね。
 自己中では人と交わることはできないのです。

 人によって価値観が違うのはあたりまえのことです。
 自分を知り、人を知ることが人間関係においてとても大切なのです。

 それが簡単ではないから苦労するのですけれどね。
 簡単ではないから面白いのではないでしょうか?

 とまあ、こんなことを色々と考えながら仕事をしておりますと、介護という仕事は楽しくはないかもしれませんけれど、いろいろと面白いことはあるかもしれませんよ。

 以上、この話しはいったんこれで締めたいと思います。
 お付き合いありがとうございました。